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録画映像をサーバーに置いて共有するためには


 地デジのテレビ番組を録画した映像を会社のサーバーに置いて、パソコンからいつでも社員が見られるようにしたいという話は非常によく聞きます。しかし、このような行為は、地デジのルールに反しているとともに、著作権法に触れる法律違反であることを知っている方はあまりいません。

 デジタル映像が劣化しないでコピーされて著作権者が経済的な損害を被らないように、地デジの映像にはコンテンツ保護手段が施されています。そしてこのコンテンツをコピーしたり、移動したりする場合には、その保護手段で決められたルールに則って行わなければなりません。しかし、いわゆるパソコンとサーバーの間で単にファイルを共有するだけの仕組み(メールにファイルを添付するのも同様です)は、このルールに則っていないため、地デジの録画映像をサーバーに置くことが許されていないのです。

 無理やり他のパソコンのファイルと同じように扱ってサーバーに置くためには、地デジの録画映像のコンテンツ保護手段を外してパソコンにコピーしたり、サーバーにアップしたりしなければいけません。しかし、そうした行為(コピーガード外しと呼ばれます)は、コンテンツ保護手段を意図的に回避していることになり、著作権法違反に問われます。


Windows Media Playerやブラウザで見られる映像は?


 もし、皆さんの周りで、パソコンのブラウザやWindows Media Playerで、テレビ番組の録画映像を見ている人がいたら、それは違法行為をしている可能性が高いので注意してください。そういった無料動画再生ソフトやブラウザは、前述した地デジに求められるコンテンツ保護手段に則っていないので、地デジの録画映像を再生することはできません。

 本人は、テレビが録画されたDVDを人から受け取ったり、メールでURLを指定されてアクセスしているだけと思っているかも知れませんが、そのDVD自体やアクセスしているサーバーが違法行為を行っている可能性が高いのです。地デジの映像をパソコンで再生するためには、地デジのルールに従ったコンテンツ保護手段を備えたソフトウェアが必要になります。また、この保護手段の実装にはライセンス料がかかるため、無料のソフトやブラウザで地デジ映像が見られることはありません。

 ところが、インターネット上では怪しい業者が、「ダビング10対応」などと称して、画像安定化装置を使ったコピーフリーのソリューションやアナログ変換によりコピーガード外す機器を販売しています。しかし、これらのデジタルコンテンツの違法コピー(いわゆるコピーガード外し)は、著作権法上は同法で禁じる「技術的保護手段の回避」にあたり、明確な違法行為です。こういった業者の口車に乗せられないように気をつけてください。このような機器を販売した者だけでなく、機器を使用する行為も著作権侵害の違法行為となります。


ネットワーク経由での合法な視聴方法は?


 では、録画された映像を複数のパソコンからネットワーク経由で視聴する方法はないのでしょうか。ちゃんとルールに則って合法なやり方があります。地デジのコンテンツ保護のルールの中にネットワーク視聴をするための規格が決められており、そのルールに従った方法であれば、ネットワークにつないだ複数のパソコンから視聴できます。つまり、冒頭で書いた、「録画した映像を会社のサーバーに置いて、パソコンからいつでも社員が見られるようにしたい」というニーズに対して応えることができるのです。ただし、地デジのルールに沿った規格の中で、という制約がつきますので、パソコン上のファイルのやり取りのような自由なやり方はできません。このネットワーク視聴のための地デジの規格は、DLNA/DTCP-IPというもので、市販のレコーダーやテレビなどでもこの規格に則った機種には、録画映像を離れた所からパソコンやタブレットで見る機能があります。少し前に、女性がお風呂でタブレットでリビングのテレビを見ているCMがあったのを覚えているでしょうか。あれは、まさにこの規格を利用した機能なのです。