SPIDER

特集記事

プロレス格闘技雑誌の『Dropkick』でSPIDERの特集をしていただきました。
ご厚意により全文転載の許可をいただきましたので、ここに掲載いたします。

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テレビとネットのつながりを深くすることができる

有吉たとえば『笑っていいとも!』って、日本全国どこでも昼12時に放映されてるわけじゃなくて、青森の八戸だと夕方の4時45分からやってるんです。だから東京の人が『笑っていいとも!』の感想をつぶやいたそのときに八戸では観られないし、八戸の人が「今日のゲストは博士だ」とつぶやいても、東京の人は夕方のニュース番組を観ていたりする。そこをブリッジするのがボクらのやってることなんです。

博士これはいま数年がかりでデータを集めて可能にしようとしている。これが実現すると「ソーシャル」のコーナーでテレビ番組をキュレーションできる人がいれば、それはテレビとネットのつながりを深くすることができるんですよ。「ガチ相撲」で生じたようなズレはもっと小さくなる。

有吉これは「ソーシャル」がひとつのテレビチャンネルになっていきますね。「科学技術」や「アート」、「プロレス」というチャンネルがあってもいい。そのジャンルに強いキュレーターの方がつぶやくことで、ある種、雑誌のようにテレビが観られるんです。

博士SPIDERの中に絵がある雑誌ができちゃう。テレビを巻き込んだネットの世界。ネットとテレビの融合によってホリエモン(堀江貴文)が「ドラマで女優が着てた服がその場で買える」と言っていたけど、そのときは何それ?って思ったけど、その時代が間もなくやってくるんですよ。

──テレビの視聴スタイルも変わりますね。ゴールデンやプライム、深夜放送の概念がなくなるんじゃないですか。『ワールドプロレスリング』も深夜の時間帯がネックになってますが、このSPIDERがあればそこはグッと解消される。


“テレビ愛”を語るんだったら、番組だけでなくテレビ全般がもっと観られるように変えればいいのに

佐々木そこは変わりますね。たとえばボクはあんまりテレビを観ないんですけど、その理由は人気番組と言われてるものの多くが「くだらない」としか思えないから。でもそのくだらない番組って、所詮は朝のワイドショーとゴールデンタイムのお笑い番組、あとは古館伊知郎の『ニュースステーション』を観てそう判断してるわけですよ。早朝や深夜にも凄く面白い番組があるはずなんだけど、ほとんどが埋もれたまま気がつかないという。あまりにもゴールデン番組のくだらなさが前面に出過ぎてて、より良質な番組を見ることを放棄してしまってる残念な状況はあると思うんですよね。

有吉本当にそうだと思います。テレビ番組ってじつは1週間のあいだに2000番組もあるんですが、「知ってる番組名を書いてくださいよ」って言うと、だいたい誰もが20番組ぐらいしか書けないんです。ということは知ってる番組はわずか1パーセントしかなくて、99パーセントも知らないまま「テレビはくだらない」と言われてしまっている。そこをテレビの人は怒るべきだし、もっと考えるべきだと思うんですよ。

博士そうそう。視聴機会そのものがないから出会わない。“テレビ愛”を語るんだったら、番組だけでなくテレビ全般がもっと観られるように変えればいいのにって思うのよ。オレももう50歳だから、基本的に若者向けの番組ってそれほど観ないのよ。だって、ゴールデンの番組はオレよりも若い世代に向けた内容だし、誰でもわかる内容にしないといけないから、大人にとっては幼稚に思えるの。でも、そう先入観で思い込んでいるオレがゴールデンタイムの本当に面白い番組を見逃してることも多々ある。でもSPIDERを導入すると、自分が永遠に出会うことはなかった番組に出会えるわけ。

有吉検索により偶然、見つけられるし、「ソーシャル」の他人のツイートからも発見できる。

博士待受画面のスクリーンセーバーに流れている番組からだって拾うことがある。その「偶然」が凄く大事。佐々木さんは「SPIDER=セレンディピティ」って書いてますが、セレンディピティって聞きなれないから説明すると辞書的に言えば「何かを探してるときに探してるものとは別の価値があるものを見つける能力、才能を指す言葉。何かを発見した現象ではなく何かを発見する能力を指す。平たく言えば、ふとした偶然をきっかけにひらめきを得て幸運をつかみ取る能力」という意味なのね。これもうSPIDERそのもの。で、オレ、今日、ツイッターでこのセレンディピティを、もっとわかりやすい日本語の言葉に言い換えてくれっていう大喜利形式で募集したんだけど。

佐々木なかなか思いつかないですよね。

博士本来「幸運な偶然」とか訳されますよね。で、いま投稿されてるのは「棚ぼた力」「わらしべ長者」「犬も歩けば棒に当たる力」あるいは造語だけど「閃幸」とかね。あとコレコレ。これが『Dropkick』的なんだけど、「曙は当時スポーツドキュメント番組の撮影でハワイにスカウトに行った東関親方がしかたなく連れて帰ってきた。足長で大成するはずはないと思われていたのに……そんな力」(笑)。曙はたまたま出会った金の鉱脈だった。

──ミルコ・クロコップのMMA進出もセレンディピティですね。

博士そうだね。藤田和之のかませ犬として無理矢理やらされたけど、その試合で勝利することがジャンルを大きくするきっかけになったわけだから。