SPIDER

特集記事

プロレス格闘技雑誌の『Dropkick』でSPIDERの特集をしていただきました。
ご厚意により全文転載の許可をいただきましたので、ここに掲載いたします。

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一回更地にして、ヨーイドンでやり直そうよ

──でも、実際の視聴率がわかってしまうのはテレビ業界からすれば受け入れがたい勢力もいるはずですよね。

博士うん。だからこそ無視されてるところもある。「CMスキップ」と「視聴率」のふたつの誤解。ぜんぜんそんなことはないのに。

有吉やっぱり、そこはいまのテレビ業界の仕組みがあるがゆえに視聴者にとってもコンテンツ業界にとっても良いほうに動けない呪縛があるわけですよ。呪縛のひとつには生視聴へのこだわりがある。いま現在のテレビ業界は「生視聴」にしか通貨価値がないんです。視聴率1パーセントいくらと決まった固定相場制。だけど、それを録画で観る人、iPhoneで観た人、あるいは2回観た人をどうカウントするのか。その仕組みを作って新しい通貨を作ると、コンテンツの評価って変わっていくと思うんですよ。

博士そこで佐々木さんの本でオレがいちばん驚いたのは、メディアの広告費というのは世界共通の法則でGDPの1パーセントを絶対に超えないってこと。

佐々木それは何十年にわたって崩れない法則で一定ですね。

博士不況でGDPが右肩あがりにならなければ広告費も当然減っていく。そこにネットが新たに参入してんだから、新聞やテレビにますます広告費は行かない。でもいまだにテレビはお茶の間のチャンピオンというムードはあるでしょ。

──それは以前、土屋(敏男、日本テレビプロデューサー)さんに取材したときにもテレビの影響力はネットに取って代わられることはないと言い切ってますね。

博士そうなの。それなのに広告が減っていく。その理由はこの本にはいっぱい書いてあるけども。

佐々木日本の場合はキー局が中心なんで、コンテンツの中身よりも生で観てもらって視聴率を上げるってことが目的になってしまっているから、コンテンツの再利用はあまりやらないし、なおかつDVDで観てもらうと困る。そうなってくると視聴者層は広がらないですよね。

博士それはもう既得権益側の頭次第だよね。SPIDERに切り替えれば、これらの多くの問題は解決すると思うんだけど……。

佐々木そこをやろうとすると現状視聴率が高い番組を維持してる仕組みを一旦、捨てなきゃいけなくなっちゃう。固定相場を変動相場制に変えるとその瞬間は暴落する可能性があるから、現在の視聴率モデルが崩壊したら、しばらく広告費が下がる現象が起きかねない。そうすると上場企業が多いキー局としてはですね、SPIDERを組み込めない気持ちはよくわかるんですけどね。

博士佐々木さんはね、そこは「一回更地にして、ヨーイドンでやり直そうよ」って言っている。オレ、それはもの凄くポジティブなメッセージだと思ってんのよ。いまからテレビに入ってくる奴でも雑誌に入ってくる奴でも、どの時間帯のテレビをやっても一週間2000番組が同じスタートラインで評価され、面白いものを作れば、どこの地方局であろうと、どの時間帯であろうともキャリアに関係なくかならず評価される、面白さが見つけてもらえる世界のほうが正しい。ライターや編集者なら、より開かれた世界で、その発見力やキュレーション力の実力を問われるようになる。

有吉やっぱり何事も前提が変わってくものを維持し続けることは無理ですからね。

博士だからSPIDERも革命のきっかけなのよ。有吉社長いわく「ビデオデッキが登場して以降、テレビは一回も変わってない。でもSPIDERで変わる」と。

有吉ディスクになろうが、VHSがSVHSになろうが、皆さんの生活は変わらないじゃないですか。容量が2倍になって朝1時間遅く起きれるようになったか。ならないですよ。生活になんのインパクトもないです。


NHKのドキュメンタリーなんかゆっくりだから、3倍速でも平気ですよ

博士そこで、俺の生活を変えてくれる俺のお気に入りの倍速機能、完成しました?

有吉もうちょいで完成します。

──それは普通の倍速機能と何が違うんですか?

博士1.5倍速や2倍速ってあるでしょ。そうじゃなくて、1.5、1.6、1.7、1.8と刻んで倍速で観られるんだよ。それの何が凄いかっていうと、自分の視聴能力が倍速に慣れてくると全然追いつくの。それは活字の速読術する人が文脈を読んで語尾まで読まないのと同じで、ニュース番組なんかでも1.5倍速でも普通に観ることができる。

佐々木NHKのドキュメンタリーなんかゆっくりだから、3倍速でも平気ですよ。

──アクション映画だったら普通に観たほうがいいかもしれないけど(笑)。

有吉サッカーを2倍で観るとですね、ゴール前に人が集まってきたときだけ通常のスピードに戻すんですけど、通常のスピードが、もうスローモーションのように映って面白いですよ。お笑い番組の場合の場合はけっこう厳しいですけど。

博士漫才は間が重要だし、オチを飛ばされたら困るからね(笑)。