プロレス格闘技雑誌の『Dropkick』でSPIDERの特集をしていただきました。
ご厚意により全文転載の許可をいただきましたので、ここに掲載いたします。
博士佐々木さんは、SPIDERの検索機能は、インターネットでグーグルの検索エンジンが開発されたときと同くらい革命的なことだと書かれてましたけど、実際に使ってみて初めて、その意味がわかりました。しかもそれを株式会社PTPというたった社員20人程度の会社が作っているという事実にも驚きました。
佐々木少人数の機動力のある企業がものを作り、製造業に乗り出していくってことは、最高にグローバルなやり方なんですよね。たとえばシリコンバレーの「テスラ」というグループは電気自動車の開発をしてるんですが、あそこの社員は300人しかいない。Facebookは世界中に9億人も利用者がいて、株価の時価総額はどこよりも高いのに社員の人数は凄い少ない。そういう意味でも新しい会社のあり方を確立してると思うんです。
博士でもね、SPIDERの先進性はわかったけど、たかが20数名の会社のやったことでしょ。日本の家電メーカーは何千何万と優秀な技術者を抱えているわけじゃないですか。だからオレは有吉社長に「大手にすぐ真似されませんか?」って聞いたら「それは絶対にできない」って言うの。
──真似できないですか?
有吉できないですね。もちろん特許の関係もありますし、SPIDERのサービス自体がさらに進化していますし。いまはまだプロのユーザーしか使っていただいていませんが、そこから出てくる意見を反映して、どんどん進化させています。ある意味、ネットサービスに近いんです。
佐々木それは2001年にアップルがiPodを送り出したことに似てるんですよ。そのあとアップルは2003年にiTunesをスタートさせましたよね。
博士そうですね。あそこで音楽配信ビジネスは「勝負あり!」って感じで。
佐々木でも、iPodが発売されたときに日本では「こんなものはまったく売れない」とさんざん言われて、日本の名だたる電機メーカーの従事者たちが雑誌のiPod企画でみんな口をそろえて「日本のメーカーなら簡単に作れますよ。もっと質の高いものを」と。たとえばいまのiPodはそうでもないですけど、当時は部品の噛み合せが悪くて隙間が空いていたり、内部を開けてみると基盤がバリだらけだったりした。それなのになぜiPodが売れまくったかといえば、製品の出来でもなければ性能でもなく単純に“使いやすかった”ことに尽きると思うんですよね。
博士いや、まさに“使いやすい”に尽きますよ。SPIDERを使った実感って、初めてMacを使った感覚に近いものがある。もう「なんて快適に使えるんだ」っていうサクサク感。
佐々木iPodも何が使いやすかったといえば、音楽が簡単に入れられたこと。しかも一度入れた音楽が複数のデバイスで共有できる。あの当時、ソニーが『ネットワークウォークマン』という製品を発売したんですけど、これはパソコンで音楽を買って『ネットワークウォークマン』に転送したら、パソコンでは聞けなくなっちゃうんですよ。パソコンで聞こうと思ったらDRM(コピー制限サービス等の総称)を移して、そこからまた『ネットワークウォークマン』を書き戻してようやく聞ける。非常にめんどくさいことをしなきゃいけなかった。逆にiPodは購入した曲を4~5台に転送できるという非常に使いやすいシステムを作ったところが圧倒的に強かった。
博士そうしているうちにアップルがiTunesで音楽配信を独占状態にするわけじゃない。それと同じことがSPIDERによりテレビでも起きるっていうふうに予測しているの。ま、使ってみないと、この実感はわかってもらえないけどね。